日記の3歩手前。

日々の書き散らし、誰かの隙間の思考です。

薬局

 

昔、偶に行く薬局の一角に、いかにも女児が好きそうなキラキラ大きなモチーフのついたヘアゴムのコーナーがあった。

今もそうかはわからないけど、当時そこに売っているヘアゴムはデザインがバラバラで、同じものはあまりなかった。その中にひとつ、とっても素敵なヘアゴムがあった。おおきくてキラキラで、形もものすごく好みで、青かったことしか覚えてないけど、本当に欲しかった。でも、親がそういうものは絶対に買ってくれないのも同時にわかっていて、これを自分のものにできないのがとても悔しかった。

その薬局に行くたび、買い物をする親から離れてそのヘアゴムを眺めていた。帰り際には、それをコーナーの1番すみっの、一番後ろに移動させて、誰にも買われないようにできるだけ隠してから帰った。

いま思い出すと、あれは随分長い間売れていなかった気がする。毎日行くような近所の薬局ではなくて、少し遠出した帰りにいくなら、という薬局で、毎回どきどきしながらあのヘアゴムに会いに行き、まだあると安堵したのを何度も経験した気がする。年単位で売れてなかったのではないか。

終わりは覚えていない。ある日行ったらもうなかった気がするし、コーナーが移動するついでに消えていたような気もする。六歳未満のころの話なのでオチがなくて申し訳ないがご了承いただきたい。

ただ、強烈に欲しいと思ったことをずっと覚えている。

この話を書きながら、どうしても欲しかったものの記憶をぽろぽろ思い出した。しばらくそんな話ばかりするかもしれない。

 

華華華